多摩美と武蔵美の補欠繰上げ開始。合格確保のために250万のキャッシュフローの用意を

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昨日から多摩美術大学、本日から武蔵野美術大学の補欠繰上げが始まりました。
どちらの大学も、大学サイトでも最新の繰り上がり補欠番号を確認することができます。

タマ/ムサという2大美大は、私立美大の最難関とも言われています。だからこそ、うちの子もそうでしたが、どちらの大学も併願するのが当たり前で、年度によっては補欠繰り上がりも大きく動くことがあるんですよね。

この記事では、実際に2021年の美大受験を経験した親子による補欠繰り上がりの状況と、合格パターンによっては250万を数日以内に支払えるキャッシュ力が必要ではないかと感じた体験談をまとめました。

目次(読みたいところへジャンプ!)

    東京の美大受験併願パターン例

    人気の高いタマビ/ムサビを受験する人には、大きく分けると次の3通りのパターンがあります。

    1. 多摩美または武蔵美のXXX学科が第1志望
    2. 東京藝術大学が第1志望だがダメだったら合格している大学へ通う
    3. 東京藝術大学が第1志望だから試験慣れするためだけに受験

    ①多摩美または武蔵美が第一志望

    多摩美または武蔵美が第一志望である受験生の場合、どちらも併願するのが常識となっています。

    さらに、デザイン志望の受験生は、デザイン系学科を併願していきます。

    第1:武蔵美 視覚伝達デザイン(倍率7.8倍)
    第2:多摩美 グラフィックデザイン(倍率8.4倍)
    第3:多摩美 統合デザイン(倍率7.7倍)
    第4:武蔵美 基礎デザイン(倍率9.5倍)
    第5:武蔵美 デザイン情報(倍率6.6倍)
    第6:多摩美 情報デザイン(倍率8.5倍)
    ※受験倍率は、2021年度募集定員と志願者数から算出したもの。

    拘束時間が長く大荷物で移動が必要な体力勝負の美大受験なので、全て受験すると途中で倒れてしまいそうですが、「大本命学科の前日は休めるように」「3日以上連続受験はしないように」「実技の傾向が似ている」など、受験生各自で受験学科を取捨選択をしていきます。

    美大受験生の多くは、オープンスクールや卒業制作展、OGOBの作風などから、「この学部学科が圧倒的に第1志望だ」という気持ちを持っているはず。上の例だと、「武蔵美の視デが大本命!補欠合格なら順番待ちしたい!」となるのは当然のことなのです。

    しかし、競争が激しい美大受験では、受験結果がこんなケースも多々あるのが現実。
    第1:ムサ視デ→補欠合格、第2:タマグラ→補欠合格、第3:多摩美統合→合格

    補欠合格が繰り上がる可能性はあるけれど、絶対に順番が回ってくる保証はない。でも、第1志望の順番が回ってくるかもしれない。この状態だったら、まずは多摩美の統合の合格を確保したくなりますよね。

    合格を確保するためには締切日までに入学金を納入する必要があります。2021年の入学手続き締切日は、武蔵野美大・多摩美どちらも3/1でした。希望学科に合格した受験生が手続きを終えた後、併願学科の繰上げが始まります。

    ムサビは3/3 15時から一次繰上が開始しました。一次繰上げで補欠合格対象者の場合には、電話連絡と合格通知書の郵送がどちらも行われます。二次繰上からは、電話で入学意思が確認できた時だけ合格通知書が送られます。

    ②藝大が第一志望だけど現役主義

    美大の最高峰である東京藝術大学を第一志望にしている受験生は多いです。ただ、あまりにも倍率が高く難関でもあるため、浪人を考えられない受験生の場合、多摩美または武蔵美の合格を確保しておいて、藝大受験を続けていきます。

    このパターンの受験生の場合、藝大の最終合格発表日から、多摩美と武蔵美の補欠合格の繰り上がりに影響が出ます。藝大合格者数分、繰り上がる可能性があるのです。2021年度の芸大最終合格発表日は3/13でしたが、大学から補欠合格の電話連絡が実際にありました。

    ③藝大が第一志望でお試し受験

    「藝大以外考えられない。何年浪人しても藝大に行く」という肝の座った受験生も一定数存在します。この受験生のうち何割かは、美大受験の試験の雰囲気に慣れるために多摩美と武蔵美をお試し受験する傾向があります。

    藝大を目指す受験生ですから、多摩美と武蔵美をきっちり合格していくのですが、入学金を支払わないため、入学手続き締切日後に補欠が繰り上がります。多摩美は3/2、武蔵美は3/3から補欠合格者が発表されました。

    2021/3/3 21:26現在の多摩美の繰り上がり状況の一部を表にしてみました。結構、繰り上がる学科もあると感じませんか。特に、タマビの統合デザインは藝大他国公立美大受験生だけでなく、他のデザイン系学科受験生からも併願されることが多い学科のため、100番近くまで繰り上がる年度もあるのです。


    学科・専攻
    一般繰上順位共通併用繰上順位共通単独繰上順位
    日本画105
    油画1812
    版画61
    彫刻03
    工芸90
    グラフィックデザイン1615
    プロダクトデザイン873
    情報デザイン935
    環境デザイン0711
    統合デザイン503422
    テキスタイルデザイン93
    劇場美術デザイン00
    メディア芸術99

    多摩美術大学サイト内、合格発表(簡易発表)ページから、一部のみ引用しております。全学科ではなく最新情報ではないため、最新情報は元のページで確認してください。

    >>>美術学部一般選抜 補欠繰上状況|多摩美術大学

    受験と合格パターンによっては3大学分の入学金と納入金が必要に

    多摩美と武蔵美、そして藝大も含めると、繰り上がる可能性が捨て切れないのです。

    代表的な美大受験のスケジュールを表にしてみました。

    納入金額はムサ視デ、タマグラで算出

    模試で多摩美と武蔵美がA判定だったとしても、試験日も合格も先にある東京造形大学も併願する受験生は多いです。でも、上の表を見て!タマムサの合格発表前に東京造形大学の入学金締切日が設定されているの。払うしかないじゃん(つД<。

    2021年の美大受験は、女子美ショック(勝手に命名)がありまして、女子美の試験日程が他の美大に被りまくりだったのです。あくまでも個人の感想ですが、女子美の一般入試はおまけみたいになっていくのかなと思っています。元々、指定校推薦や総合型推薦入試での生徒確保に力を入れているように見受けられますし。併願に選べないのはつらかったです。

    東京造形大学は、入学金以外の前期納入金の支払い期日もシビアなんです。2/26締め切り。だから、タマムサが全て補欠合格だった場合、ひとまず造形に約85万を追加で支払っておかなくてはいけません。補欠合格したら、入学金以外は返金してもらえますが、即日返金してもらえるわけではありません。

    大本命の大学の学部学科に合格できたとしても、造形(30万)とタマ(27万)ムサ(30万)いずれかの2校分の入学金と進学する大学への前期納入金(約85万)をすぐに支払えるように準備しておく必要があります。合計140万円ほどになります。

    もっと細かい話をしていくと、第1志望の多摩美グラフィックが補欠で第2志望の武蔵美視覚伝達デザインと第3志望の多摩美統合デザインが合格していた受験生がいるとしましょう(図①参照)。

    多摩美 グラフィックデザイン科補欠合格
    武蔵美 視覚伝達デザイン科合格
    多摩美 統合デザイン科合格
    図①

    この場合、多摩美と武蔵美の2大学の入学金を支払って入学資格を確保しつつ、ギリギリまで第1志望の多摩グラの順番待ちをすることもできるのです。すでに合格している統合デザイン科で入学手続きを進めていても、あとで補欠合格をしたグラフィック科に差額を支払うだけで変更することも可能だからです。実体験なのですが、補欠合格繰り上げ連絡は3/23までありました…両大学の募集要項には「3/31まで繰り上げがあります」と書かれてるし。

    もう、どの入学手続きの進め方が正解なのかわからなくなってきませんか。だからこそ、とりあえず納められるお金があると安心なんです。

    入学金は戻ってきませんが、その他の前期納入金は各大学の締切日までに辞退連絡をすれば返金されます。

    第1志望が補欠合格だったとしたら、さらにもう1校分の前期納入金までも支払える体勢を整えておきたいところです。これで230万。資産がすぐに現金化できない株式や投資信託だと締切日に間に合わなくなってしまいます。特に、補欠合格の手続き締切日はシビアですから。

    美大の大学受験料の相場が20〜30万なので、子どもが美大を受験したいと言ったら、すぐに動かせる250万円を確保しておくと安心ということを感じていただけましたでしょうか。

    我が家の場合、高校から美大進学を狙ったコースへ進学したこともあって、入学後すぐの三者面談から何度もしつこくお金の話をされました。「合格してから考える」と問題を先送りしていて、合格発表後にパニくる生徒とその親を幾度となく目の当たりにしてきたからでしょう。それでも、先生から言われてきた額はタマムサどちらか1校への入学手続き分120万円だけ。控えめに打診されてたわけです。

    受験戦争の激しかった私たち団塊ジュニアの頃と比較すると、多摩美も武蔵美も受験倍率は低くなっています。
    ただ、実際に美大受験生を抱えて思い知ったのは、倍率は低くなっていても難易度は昔よりも上がっているんじゃないかということでした。過去の大学受験で存在していた記念受験といったノリの受験生は見当たりません。受験費用が1学部1学科につき35,000円もするので当然のことだと思います。受験費用2〜3万円をギャンブル感覚で使えたバブルの頃と今では価値観が大きく違います。

    合格者最低点から想像すると、近年の美大受験は模試の合格判定Aを獲得している受験生同士のレベルの高い熾烈な戦いであるということ。学科によっては9割とらないと不合格ですからね。出題モチーフやテーマ、その日の体調で合否が分かれてしまう接戦。だからこそ、補欠合格になってしまう可能性も十分に考えておく必要があるんじゃないかと思うのです。特に保護者は。

    次回予告、「国立大といっても東京藝術大学の入学時納入金は高額なので気をつけよう(仮)」。

    >>>国立大といっても東京藝術大学の入学時納入金は高額なので注意

    >>>「美大に行きたい」と言われてから親としてやってきたこと

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